考察

効率化

草刈りについて考えました。

我が家の周辺は草原です。すべてが自宅敷地というわけではありませんが、草刈り管理をしています。
初めのころは時間がかかりました。合計2反歩(0.2ha)ほどあります。何回にも分けて作業して、一巡するころにはスタート地点の草はそれなりに伸びてしまっている状態でした。
その後自走式モアを導入して草の成長に負けずに刈ることができるようになりました。
機械による作業効率アップです。

しかし今年は出張で家を空けることが多くなり、隙間時間に草刈りすることもままならなくなってしまいました。
今までのやり方ではとても追いつきません。さらに高性能な乗用モア?それもできなくはないですが、時間当たりの作業量を増やしてもコストはかさみ、やらなければいけない仕事量は増えるばかりです。機械化林業に似ています。

そこで、草刈りの意味から考え直しました。

ほとんどの人が何の疑いもなく地面を基準に刈り取ります。ジャラジャラ地面を削りながら刈っているオジサンの姿もよく見ます。車道脇では止めてほしいです。
「刈り取り」と書きました。以前刈り草はいろんな用途に利用されました。収穫です。

しかし、僕なんかがやっているのは収穫ではなく景観維持作業なのです。刈りっぱなしあるいは刈り草を集めても他へ持っていって投げるだけです。
景観を維持するということは、草が生えていてそれが伸び放題ではなく管理されているように見える状態を維持するということになります。

無理に地際で刈る必要性はありませんでした。

基準を地面から草そのものに変えました。草と戦うのはやめてそこにあることをまずは肯定します。
草を見ながら、その種類や性質、草丈に合わせて刈り込んでやるのです。そんなに細かいことはできませんのであくまで大雑把にですけど。
すると驚くほど楽なのです。上っ面を払うだけになりますので当然刈る量は少なくなります。草刈り機を振るときの抵抗はほとんどありません。見えないところへ刃を突っ込むこともありませんので、刃を傷めることもありません。

自走式モアは草刈機の2倍ほどの仕事量でしたが、この新しい方法はモアで作業する何分の一の時間で面積をこなします。
そして見た目は…モアで刈った後一週間の所と遜色ありません。むしろ草がいきいきしていて美しくさえあります。

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平らな感じに見えますが、足を踏み入れると草丈は数センチからひざ丈まで場所によって様々です。
ある意味やさしく刈られた草はあまり反発せず、その後の伸びも穏やかです。

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低く穂を出したチカラシバ。
 
多少伸びても洋風ガーデン的に見えなくもない?

この価値観をどれほどの人が受け入れるかわかりません。
でも草を見ながら刈る作業は楽しくもあります。まだまだ知識が追いつきませんが「雑草という名の草は無い」という気持ちで続けていきたいと思います。

仕事量を減らして効率を上げるというお話でした。

ダメージ

屋敷林管理での伐採です。

ソメイヨシノとコブシを伐採しました。
共に不利な立地と過去の管理に起因するダメージが大きく、伐った方が良いと判断しました。

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枯れッカレ。ぶつ切りからのひどい腐朽で無惨。勢いよく萌芽してはいます。
しかし場所が隣家との境界で枝を伸ばすことも出来ず、倒木のリスクは許容範囲外です。
電柱カットは結局危険木を作り出し、管理は高コストになってしまいます。いっそ腐朽させる前に伐採して材として利用した方が有意義だと思います。


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胴枯れのコブシ。こちらも幹にダメージがあり、車道に向かって傾斜して塀の上に枝を広げています。
二又ですがよく見ると三ツ又の心を抜いた跡があり、どうやら伐採の時に傷をつけてしまったようです。

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腐朽は心に達しておらず。ラムズホーンを形成しています。このまま成長に任せれば強度を保てる可能性もあります。
しかし場所の制約があるので剪定せざるを得ませんから、成長と腐朽のバランスは悪い方向へ向かうと思われます。

立地や構造物との関係、他の樹木とのバランス、剪定で管理しきれるか?
今回は伐採が優先される部分で、他にも隣接する農地への影響から伐採したキハダもありました。ちょっと大きくなりすぎました。

剪定で管理できる所は頑張って爽やか空間を演出します!

突っ込み2

年明け一発目からマニアネタです。

本年もよろしくお願いします。
ブログが後回しになってしまってすみません。
最近剪定作業中心でエンジンチェンソーは使用していません。
すっかりT536LiXPが主力です、やはり住宅そばでは静かさが大変好評です。
ソーチェーンは標準でH38(オレゴン90SG)が付いてきます。
3/8ピッチで1.1mmゲージ。

このソーチェーン、ノーズ部分が全く切れません。バーの長さを越える玉切りや、突っ込みは全く入りません。
はじめから交換するつもりで予備チェーンはスチールPMM3を用意してありました。
年明けからこちらを使用しています。
予想通り、突込みがちゃんとできます。
ちょっと分かりにくいかもしれませんが…
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↑オレゴン。
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↑スチール。
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並べてみると。
オレゴンの方が使用して減っていることを加味しても後ろ寄りにカッターが付いていることが分かります。上刃逃げ角も若干スチールより角度が小さくなっています。
オレゴンはノーズ部分で円周上のカッター進行方向に対して逃げ角がなくなってしまうため、上刃後方を材表面にこすり付ける格好となり刃先が食い込まず突込みが出来ない結果になっています。
対してスチールは逃げ角が確保できるのでカーターがノーズスプロケットに乗った状態でも伐り進むことができます。
これはオレゴンの方が対キックバック性能を重視しているという事も言えると思います。
スチールの場合目立てによってはキックバックが起きやすくなってしまいます。
一長一短、性格の違いですね。

特殊

伐採の現場が続いています。
最近特伐(特殊伐採)という言葉が広まりつつあります。

もちろん言葉だけではなくそういった必要のある現場や作業を行なう人も増えてきました。
伐採が主にチェンソーなどで木を伐り倒すことを指すのに対して高所で枝を吊り下ろすなど特殊な作業をするという意味合いで特殊伐採と呼ばれています。
「伐採」を生業とするならばその特殊性を売りにして、また高所作業の危険性をアピールして作業単価を上げるという考え方もアリかもしれません。実際僕自身も自分は伐採屋だと思っていました。しかしある程度そんなことが普通にできるようになってきたとき、このままではいけないと思いました。
「登って伐ってくるだけで良いのか?」
答えはノー。あくまでも自分の中での答えです。
ディープ フォレスト ファクトリー、業務の一番目に掲げているのは樹木管理です。
そこに伐採も含まれますが、一つの選択肢に過ぎません。
木を活かす仕事がしたいです。
登って伐れる、倒さなくても伐採できる、近接した構造物を保護しながら伐れる…
当たり前にできる事として捉えたいです。もう特殊ではありません。
伐採は伐採。安全に作業するためのコストがそれぞれ違うだけの話です。
剪定も、どこでも伐れることを前提にすれば、人の都合と木の健康の折り合いをどこでつけるか?将来を見越してどこでどう伐るか選択することが仕事になります。
木と人、お互いにとってよりよい関係を作り出せるような知識と技術を身に付けたいです。
樹木医としてそんな仕事ができればと思っています。
伐るばかりでもないし保護すれば良いというものでもなく、その対応は千差万別。
幅広い知識と柔軟な考え方と、それを実現できる技術。
全然まとまりませんが、そんな理想です。
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剪定

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とあるお宅のシラカシです。
もう秋だというのに、新芽が伸びています。
以前手入れをしていた庭やさんは、よく街路樹でなされるように葉をほとんど取ってしまう剪定を繰り返していたそうです。
全体に葉が小さく、かなりストレスが溜まっているようです。今年は春に新芽を伸ばす力もなく、夏まで一生懸命エネルギーを貯めていたのではないでしょうか。
一部の枝は枯れてしまっています。
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枯れていない枝もほぼうろになっています。
ずっと前の強剪定の影響だと思います。
幹にも腐りが入っているでしょう。
でも強い木です。
今回管理を任せていただいたので、葉の量をなるべく減らさないよう各枝の玉をひとまわり大きく整えて、来年以降は少しずつ自然風の枝ぶりに変えていきたいと思っています。
今回は伸びすぎた徒長枝を少し切り詰め、絡み枝を解消、前回までのブツ切りで枯れ込んだ枝を整形する作業で、外観は大きく変えません。
とても緻密で分かりにくい、手間ばかりかかる作業です。
ビフォー・アフターの写真を撮っても全然インパクト無いと思います。
こんなこだわりの剪定を理解していただいた(というより分からないけど任せてもらえた)お施主さんにひたすら感謝です。

森林整備

ごく小さい面積ですが、管理を任されています。
数年前に皆伐、コナラなどの広葉樹が植栽された地元共有林です。

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去年まで共同の所有者で自力管理(下刈)をされていました。
しかし誤伐が多かったり、斜面での作業に困難を感じたり、だんだん手におえなくなってきてしまいました。
従来の林業的なやり方では苗木以外を刈払うという方法です。
しかし植栽されたコナラの多くがシロスジカミキリと思われる穿孔虫の被害を受けていて半枯れ状態で、苗木以外を刈払っていてはまともな山にはならないでしょう。
実生や萌芽をうまく育てていく方が合理的です。幸いコナラ、ヤマザクラ、ソヨゴ、エゴノキ、マユミ…イロイロと勢い良く生えてきています。最大勢力はヌルデ、タラノキ等の先駆種です。針葉樹もスギ、ヒノキ、アカマツ、カラマツなどが見られます。
大きな声で言えませんが、植える必要などなかったのです。
「桜などの花を楽しめるような」…生産目的よりは憩いの場としての山を作るのが所有者の意向です。
元々ヤマザクラがよく見られるところですので、それらの植栽木と萌芽したヤマザクラを中心に色々な樹種を織り交ぜて育てることにします。
萌芽更新したものは絡み枝を剪定する程度、大きくなりすぎるヌルデや絡みつくフジは優先的に伐ります。やることは細かくマニアックで、やった後もゴチャゴチャです。ゴチャゴチャのまま管理します。
例えばスギヒノキも
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ススキの株の中にスギを発見。その頭の上をサラっと刈っておきます。
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こちらも実生のヒノキ。密集して被さっていたエゴノキとコナラの枝を払ってこの状態。
もう少し全体に樹高が伸びて競合が厳しくなるまでは、過保護にならない程度の手助けで育成樹をあまり絞り込まず、「ヤッタ感」の出ない感じで行こうと思います。
オマケです。
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こちらはすぐ近くの林。ここ数年でマツ材線虫病、いわゆる松くいでアカマツは壊滅的ダメージを負ってほぼ枯れてしまいました。しかし光の入った林床は豊か。
もうアカマツが優先する時代は終わりです。
安全のために枯損木を伐る事になりますが、今後が楽しみな林です。
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実は林業的ポテンシャルも高いのです。

劣化

森林整備が森林を劣化させる。

「当たり前に行なわれていることが実は正しくない」というのはよくある事。

多シカ村(仮)の山では、除伐したら最後、下層植生は再生しない。
正しくは、萌芽した新芽をすべてシカに食べられてしまうので成長できない。
現在獣害防除のプラスチックネットを設置しているヒノキ林でおもしろい物を発見した。
おもしろいと言ってもそれはかなり深刻な事態だ。
現場は5年半ほど前に除間伐、枝打、獣害防除のテープ巻きというフルコース施業が行なわれた。その時に隣接する同条件のヒノキ林には手をつけなかった。
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広葉樹が侵入し、ヒノキも込んでいるように見える。
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こちらは施業後。スッキリしている。
しかしよく見て欲しい。除伐したのは5年半前、今年ではない。
6シーズンの夏を越えているのに下層木が全く育っていない。
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以前にも似たような写真を載せたが、新芽を食べられ続けて伸びることが出来ずにいる。
このままではいずれ枯れてしまうだろう。
そしてこの問題の核心はこれから。
【土壌】だ。
施業前、双方の地面はほぼ同じ状態だった。
現在、手付かず林分。
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急斜面のため流れ気味ではあるが、広葉樹の落葉が堆積し腐植土に覆われている。
 
対してフルコース施業林分。上下左の写真は10mほどしか離れていない。
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広葉樹の落葉供給が失われて表土は流れ去り、石が露出している。
このままでは森林自体が崩壊してしまうだろう。
実際、周辺のヒノキ造林地は崩壊だらけだ。
手付かず林分のヒノキを観察してみると、熊剥ぎ被害はあるものの、枝の枯れ上がりはまだ2m未満、十分な樹冠長率を維持し、明るいので広葉樹もまだ維持できている。
緊急に間伐が必要な状態ではない。
5年半前に行なわれた事は、混交林化していた林を刈払って種の多様性を奪い、山林崩壊を加速させる結果になった。
このような現状があるにもかかわらず、公社や県の担当者は広葉樹の価値を認めず、今年も別の林地で同じことを繰り返してしまった。
山を見ない人間に森林管理は出来ない。

「山を歩く」ということについて。

我々の現場は車で現地までアプローチできる所ばかりではない。
時には標高差何百メートルも登山したり、現在の現場では毎日資材の荷上げをくりかえす。

荷を背負って山を歩くとき、また急斜面での作業時には、脚(特に膝)に負担をかけないよう気をつけなければ、そのうち故障を起こすことになる。
今まで新しい仕事に就いたとき、まずベテランが抱える故障に注目した。
前職では腰、山では膝。
職業柄痛めやすい身体の部分というものがある。それらを大事にすることが、長く続ける秘訣になると考えている。
自身も学生時代の酷使や怪我で膝に不安を抱えているので、特に気をつけている。
登山での歩き方などは情報が豊富で参考になる。
大事なのはとにかく衝撃荷重を避ける事。
下りでも出した足にいきなり体重をかけることなく、接地してからゆっくりと重心を移動させる。
いわゆる「すり足」の動き。
段差を登るときには一気に力を出すことなく、あくまでもゆっくり力をかけるようにする。
その時に最も助けになるのがトレッキングポールだ。
おおむね10分以上歩くときには背負子を使用して両手をフリーにし、トレッキングポールを突いて歩く。
単に突いているだけでも腕の重さ分は荷重を分散できる。そして積極的に第3第4の脚として使用すれば、大幅に脚の負担を軽減できる。
ある程度訓練が必要だが、すべての一歩を意識的にコントロールして行なう。何気なく無意識に足を出すことが全くないようにする必要がある。
そうすることで故障を予防し、転倒による怪我を防止することになるだろう。

復活

日々、滅入るような現場に通っている。
車で悪路を走り、さらに荷物を背負って30分ほど歩いてやっとたどり着いた先には、造林地としてはほぼ壊滅状態の「元」ヒノキ林。

約35年生、20年ほど前の熊剥ぎに加え、ツルに巻かれて変形し、雑木に被圧され、地理的に搬出条件は非常に悪い。木材生産の見込みは無い、と言われても仕方ないだろう。

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そこで発注される除伐・間伐… 何も考えずにヒノキを残して広葉樹を伐ってしまえば山は終わりだろう。それなりにヒノキ林の体裁を整えつつ、バランスよく広葉樹を配置。難しい作業になってしまう。

そんな中で伐った1本のヒノキに注目した。

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外から見ると熊剥ぎから幹がほぼ腐ってしまった不良木だが、年輪をよく観察すると、樹皮を剥かれた時わずか1cmくらいの幅で残った所から20年かけてひょうたん型に盛り返した様子が見て取れる。
この断面形状ならそれなりの強度も確保できている。このまま無事に成長できたとすれば、植物としては瀕死状態からの復活ということになるだろう。

やはり自然は人間の価値観のはるか上の存在だ。

スクエアチゼル

スチールPS3の登場でチゼル刃(角刃)が一気に身近になった感がある。
しかし、チゼルを丸ヤスリで目立てする限りキックバックが起きやすく、突っ込みを多用するような伐採や樹上での使用には向いていないのではないだろうか?

現在MS201、MS362共にチゼルを使用しているが、丸ヤスリでの目立ては一度も行っていない。チゼルのメリットはダブルベベル等チゼルファイルでスクエアチゼルの目立てをすることで発揮されると思っている。

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上が新品、下が使用中のもの。
特徴的なのは横刃。新品がかなり尖っているのに対し、スクエアはほぼ90度。
丸ヤスリでの目立てでは横刃目立て角は上刃切削角に連動する。
ダブルベベルを使用すると、それらを別々に設定できるため、切削角鋭角、目立て角鈍角という目立てが可能になる。

上刃目立て角は約20度、切削角約45度。
横刃目立て角は約90度、切削角約45度。

これらはあくまで個人的目標値で、絶対値ではない。

これで得られるのは、低い切削抵抗とアンチキックバック性能。
低振動でほぼキックバックを気にすることなく、どこからでも自由に突っ込み伐りができる。

スクエアチゼルについて興味があれば、こちらのサイトに詳しい。
http://www.madsens1.com/default.htm

良い事ずくめのスクエアチゼルだが、問題は目立ての難易度が高いこと。
通常のバーを上から見た角度、正面から見た角度に加え、ヤスリのひねりも決めなければいけない。しかもそれらの角度はそれぞれ目立て角と一致しない。

しかも、PS3はカッターが小さすぎるため、ダブルベベルを使おうとするとドライブリンクやタイストラップに接触してしまう。そのため新品を目立てするとき、まず接触する部分をグラインダーで削り取る。
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次に新品の目立てを全否定する。(笑)
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仕上がりの目立て角に合わせてカッター先端をグラインダーで削り取ってから、内側をダブルベベルで研磨する。
ヤスリの余計な消耗を避けるためだ。
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これでやっと仕事に使える刃ができる。

より以前の記事一覧