現場日記

昨年秋に支障木として伐採したコナラ。

手ごろな枝はホダ木など所有者に引き取られたものの、幹は大きすぎて出せず、とりあえず譲り受けてそのままになっていました。

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チェンソーミルの最小セット。これでもなんとかなります。
はじめの基準も、レール等がなくても設置できます。
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四隅にコースレットを打って水糸を張り平面を出した後、適当な間隔で水糸に合わせてコースレットを打っていきます。
その上にコンパネを置けば基準面ができます。
曲がり材でも対応できますし、案外レールよりも正確に平面が出ます。
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しかし大径のコナラは硬いです。
今回縦挽き用の目立てをしたソーチェーンを用意したのでそれなりに切れましたが、
辺り一面粉だらけです。
顔のそばでチェンソーを連続運転することになるので、耳栓+イヤマフで耳をガード。
一枚挽くごとに目立てと燃料補給。
なかなかエネルギーがいります。
そして問題は出材。
欲張ったので板は1枚100kgほどになります。
荷台までは曲線距離(笑)約12m。
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名付けて水平修羅!
材木どうしは摩擦が少ないことを利用して、挽いた材を順に滑らせて道を作り、その上を滑らせて荷台まで。
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見事持ち上げることなく積載できました。
長さ2.1~2.2m、厚さ10cm前後、幅45cm~60cm程度が4枚。
問題はどこに置くか?

もったいないから板にして出した…
そういうことですが、僕自身は多少DIYをしますけど木工の趣味は特にありません。
この板を高く買っていただける人を募集しています。
高く買ってより価値を生み出せる人。
そんな人にめぐり逢いたいです!

大杉伐採1

大杉枝下ろしの最中、僕は近くの伐採予定木の枯れ枝落としを担当、20mほど登って横にその様子を見た所。その巨大さが際立ちます。

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フォワーダでの運搬をしながら合間にクライミング作業です。
3人目のクライマーとして枝下ろしの際落下してしまいそうな枯れ枝を先行して伐って投げて、その流れで最上部の梢を伐ることになりました。
右の写真の右側、伐り落とそうとした一番上の枝も空洞で、その断面にビニールゴミが入っていました。鳥かムササビが巣の材料として持ち込んだのでしょう。
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その他にも30m地点の枝からタラノキが生えていたり、枝の上に溜めフンがあったり、様々な生き物の痕跡がありました。
野生の高層マンションです。
作業中盤、天高くそびえる塔のようになりました。
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ほぼ全域にわたって幹は空洞で、内部にはこんな造形が。
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太くなってきた幹は半割にして、さらには四つ割にしてリギングしていきます。
地上でさらに切り分けますが、それでもフォワーダの荷台がいっぱいになってしまいます。
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風格

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私有林の伐り捨て間伐。

一目見てそこだけ雰囲気が違っていた。
木に風格がある。
施業地の一部に林齢91年という林分が含まれていた。
劣勢木を伐倒して年輪を数えてみるとおよそ100年。
心の緻密さからおそらく山採り苗なので、植えた時点で数年経っていたようだ。
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切り株も伐倒木も見当たらないので、少なくとも数十年は間伐されていない。
約70年前に年輪幅が大きくなっている。
これは隣接する林分で伐採、造林が行なわれたためだと思われ、そこの林齢とも一致する。
100年生の劣勢木…普段の保育間伐の感覚では伐ることができない。
太いもので直径50~60cm、樹高30mほど。競合するものはすでに良材で捨てるには忍びない。
枯木や枯れそうな劣勢木、根が起きてしまったものを伐ってごまかすしかなかった。
実効的な間伐にはならないが、例えば15年後に搬出したとしても状況は今とさほど変わらないだろう。優劣はすでについてしまっている。
雰囲気は天然林に近いものがある。
間伐手遅れも極まれば天然林?
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隣接するエリアも太くはないが70年生で、架線を使えば一緒に出すことが出来ただろう。
100年生の劣勢木も建材以外の使い道があるかもしれない。
このような埋もれる宝を掘り起こすのがフォレスターや木材コーディネーターの仕事になるのだろうか?

雪中

除雪がなければたどり着けない現場。
初めてカンジキを使用してみた。

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場所にもよるが、そのまま踏み込むと膝上まで埋まってしまい身動きが取れない。
写真の地点は日当たりの良い斜面で表面が締まっているため、快適に歩行できた。
一方日陰の急斜面では踏んでも雪が固まらず、出した一歩が滑り落ちて上がれない状況の時もあり、いずれにせよ過酷だ。

チェンソーを地面に置くときは静かにバーを差し込む。

ツル伐り

毎年この時期は枯れマツの処理を行なっている。

担当地域はマツタケ産地であるため、伐採には細心の注意が必要だ。
出来る限り周囲の立木を傷つけないよう、処理木だけを伐採する。
以前に紹介した方法は特に顧客満足度が高い。
登らずに済むのが一番だが、中にはどうしてもというものも。
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いきなり上からでかえって分かりづらいのだが、周囲の木とフジでがんじがらめになってしまっていた。枝も四方に差し込んでいて、そのままでの伐倒は不可能。
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中に入るとこんな有様。
他のメンバーが別の作業中、下準備としてフジと伐倒の際支障になる枝を伐り落としておく。
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写真中央にあるヒノキ2本の先端が写真2枚目左の2本、アカマツは右側のシルエットになっているヒノキとの間に倒し込んだ。
はっきり言ってこの手間では儲からないが、スマートな伐採は信頼を得ることが出来る。

トング

現場は雪の中ラジキャリによる集材。

伐採済みの材は雪に埋もれ、スコップで掘りおこさないと荷掛けできない。さらに接地しているものは地面に凍り付いてスリングを通すこともできない。

そこで必需品。
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リフティングトング1500kg吊り。数年前、地面ににひどく凍り付いてしまった材を集材する現場で使い始め、このような状況では手放せない。
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雪を掘って材が顔を出したらトングをセット。
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そのまま材を浮かせてスリングをかけてフックを付け替え、
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発車。
少々手間ではあるが、凍った地面を掘るよりはよほどスマート。
木寄せ程度ならスリングに付け替えなくても十分使える。

巨人

いまいちネタが無いのだが…
久しぶりに大木に出会った。

現場は里山…と言っても里がかなり山奥であるので一般的な里山のイメージからは相当離れている。
過去に伐採されているものの、クリなど天然の大木が点在するその山の中に、異形の巨人が立っていた。

周囲の広葉樹に視界をさえぎられ、幾度と無く通った車道から近いにもかかわらず今まで気付かなかった。
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直径2m近い巨体は激しく損傷しながらも生命力にあふれている。

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その根は力強く岩盤をわしづかみにしていた。

偶然の出会いにその樹の歴史に想いをはせる…
そんな時間がゆっくり持てれば良いのだが、現実は慌しく通り過ぎる。

3馬力

久々に重牽引伐倒。
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裏山から建物の屋根の表側まで張り出したオニグルミ50cm弱。二股でかなり前傾している。
すでに裏の木は伐採してあるので、一気に引き起こして伐倒する。

重機も大きいチルホールも無いが、ローププラーとプラロックを、チルホールx5(500kg)でアシスト。

ロープ2本は前傾した枝から主幹の枝にかけて、チルをつないだロープは主幹の別の股。
それぞれ裏山のコナラをプーリーで折り返す。
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がんばれ!

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行儀良く着地して設計通りの伐倒となった。
3本隣では
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中途半端に移設してくれた電線に当たらないよう枝を処理。

誤伐?

今回は失敗談。

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ロックフェンスの表面からはみ出して伸びた木その他を伐採する作業中、
誤ってランヤードをチェンソーで切ってしまった。

使用中のラインであればもちろん細心の注意を払っているが、当時モバイルフォールアレスター(アサップ)でバックアップを取っており、ランヤードは横移動した際のポジショニングとアンカーを移設する際の自己確保に使用していたため、アンカー真下での作業中はフリーになっていた。

そのまま垂らしていたつもりのランヤードがいつの間にかツルと潅木のゴチャゴチャの中に混ざっていて、気づかずに切りつけてしまった。
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とりあえず継続使用するためにエンドを入れ替え、損傷部分が器具に入らないようビニールテープで折り返す応急処置をした。早急に交換することにする。

やはり使用していないランヤードなどはめんどくさがらずまとめてギアラックにクリップするなど、きちんと収めておくべきだった。
ツリーワークで刃物を使用するときは必ずランヤードでバックアップを取るので、あまり意識していない部分でもあった。

道路が通行止めではなくグランドからの無線合図で通行車両の無い間に作業していたため、時間的な焦りも有った。

災害にはならないが事故は事故。今後の教訓にしたい。

地上作業

普通に伐倒できない、またはやりたくない場合の伐採方法にはいろいろある。
その中でも比較的作業上のリスクが少ない方法として、地上からロープをセットする吊るし伐りを紹介したい。

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ターゲットは左手前のアカマツ枯損木。非常に分かりづらいが、樹冠部分のくびれ下にランニングボーラインで結んだロープを右奥のアカマツの枝に掛けて幹を巻きながら下ろしてある。

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下部の状況。今回はアンカーの木にターゲットが密着してしまう設定のため、ロープの操作を安全に行うためにプーリーを介してサクラを最終アンカーにしている。

はじめに、樹冠をアンカーに近づけるためにかかり木状態にする。

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ここでロープの弛みを取って固定しておけば、後はどのように伐っても樹冠の動きは制限されているので倒れることはない。
元玉を別のロープで確保しながら順次サイズに切り離してゆく。
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軽くなってくれば、浮かせたままの作業が可能になる。

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最終的に手前に引き込んで着地させた。

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はじめに結んだランニングボーライン。

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今回の伐採作業に使用した道具一式。
スローラインセット、ロープ2本(45m&18m)、プーリーセット、チェンソー。
他に1.2mの尺棒。
以上。

多少手間がかかるが、周囲の立木をほとんどいためず、高所作業もなく、
樹高20m以上ある木が伐採を終えた時点で数メートルの範囲内に収まるので、集積作業が非常に楽に出来る。

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