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2013年12月

劣化

森林整備が森林を劣化させる。

「当たり前に行なわれていることが実は正しくない」というのはよくある事。

多シカ村(仮)の山では、除伐したら最後、下層植生は再生しない。
正しくは、萌芽した新芽をすべてシカに食べられてしまうので成長できない。
現在獣害防除のプラスチックネットを設置しているヒノキ林でおもしろい物を発見した。
おもしろいと言ってもそれはかなり深刻な事態だ。
現場は5年半ほど前に除間伐、枝打、獣害防除のテープ巻きというフルコース施業が行なわれた。その時に隣接する同条件のヒノキ林には手をつけなかった。
Ncm_13112
広葉樹が侵入し、ヒノキも込んでいるように見える。
Ncm_13142
こちらは施業後。スッキリしている。
しかしよく見て欲しい。除伐したのは5年半前、今年ではない。
6シーズンの夏を越えているのに下層木が全く育っていない。
Ncm_13192
以前にも似たような写真を載せたが、新芽を食べられ続けて伸びることが出来ずにいる。
このままではいずれ枯れてしまうだろう。
そしてこの問題の核心はこれから。
【土壌】だ。
施業前、双方の地面はほぼ同じ状態だった。
現在、手付かず林分。
Ncm_13122 Ncm_13132  
急斜面のため流れ気味ではあるが、広葉樹の落葉が堆積し腐植土に覆われている。
 
対してフルコース施業林分。上下左の写真は10mほどしか離れていない。
Ncm_1317 Ncm_13183
広葉樹の落葉供給が失われて表土は流れ去り、石が露出している。
このままでは森林自体が崩壊してしまうだろう。
実際、周辺のヒノキ造林地は崩壊だらけだ。
手付かず林分のヒノキを観察してみると、熊剥ぎ被害はあるものの、枝の枯れ上がりはまだ2m未満、十分な樹冠長率を維持し、明るいので広葉樹もまだ維持できている。
緊急に間伐が必要な状態ではない。
5年半前に行なわれた事は、混交林化していた林を刈払って種の多様性を奪い、山林崩壊を加速させる結果になった。
このような現状があるにもかかわらず、公社や県の担当者は広葉樹の価値を認めず、今年も別の林地で同じことを繰り返してしまった。
山を見ない人間に森林管理は出来ない。

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