« 接地 | トップページ | 安全管理 »

硬化

このところMS200の調子がイマイチで、発注していた部品が手元にきたので交換した。

症状としては
1・始動後すぐにエンジンストール、ツキが悪くスローが薄いような感じだが、調整では改善しない。
2・使用中エアフィルターが少しでも汚れるとコンペンセーターの働きが強く出て燃調が薄くなりすぎる。

これはいずれもキャブレターのダイヤフラム劣化によるものだ。
メカニズムについては追々説明するとして、交換の手順を追ってみよう。

Imgp2107
MS200はオレンジのカバーを開ければすぐにキャブレターにアクセスできる。
Imgp2108
フィルターと固定ナット2つを取り外すとキャブレターがあらわになる。
キャブレターにはスロットルバルブとチョークバルブをそれぞれ操作する2本のロッドと燃料ホースがつながっているので、これらを外さなければいけない。
Imgp2109
まず燃料ホース。ラジオペンチなどで押し出すように抜き取るが、この時先に燃料キャップを開けてタンクの内圧を抜いてやらないと、ホースから勢い良くガソリンが噴出すことになるので注意が必要だ。

次に右側にあるスロットルロッド。
Imgp2111 Imgp2112
これはキャブレター本体を持ち上げて左に押してやると抜くことが出来る。
Imgp2113
残った左のチョークバルブのロッドはキャブレター本体を固定ボルトから抜き取った後に外すことができる。
Imgp2115 Imgp2116
取り外して洗浄したキャブレター本体。左がメタリングダイヤフラム、右がポンプダイヤフラムのカバー。
Imgp2117
交換用に用意したポンプダイヤフラム&ガスケットとメタリングダイヤフラム&ガスケット。
Imgp2118
ポンプダイヤフラムは薄いプラスチックのシートで、クランク室の気圧の脈動を利用してシートをペコペコさせ、2つのワンウェイバルブの作用で燃料をメタリングダイヤフラム側へ送り出すポンプになっている。心臓と同じ仕組みだ。
今回おそらく問題はないと思われるが、劣化していることは間違いないのでいつもメタリングとセットで交換している。

Imgp2119 Imgp2120
メタリングダイヤフラムはスロー/メインジェットと直接繋がっている燃料チャンバー室の蓋になっており、燃料が消費されてチャンバー室の燃料が減るとダイヤフラムが凹んでポンプから送られる燃料経路の栓を開け、チャンバー室が燃料で満たされてダイヤフラムが膨らむと栓が閉まる構造になっている。

つまり、ダイヤフラムが劣化、硬化してくると、この栓を開ける作用がうまくいかず、燃料が欠乏気味になってエンジン不調を引き起こすことになる。

スチールコンペンセーターは、メタリングダイヤフラムの外側がエアフィルター内部とつながれていて、フィルターが汚れて空気の取入れが少なくなって気圧が下がるとダイヤフラムが凹むタイミングもそれに応じて遅くなり、燃料が濃くならない仕組みだ。
ダイヤフラムが硬化すると必要以上に燃料供給が少なくなってしまう。


Imgp2121 Imgp2122
さらにこの栓がロケット型の部品、インレットニードル。先がゴムで出来ている。
これが汚れたりしていると逆に燃料の供給が止まらず、カブリ症状を引き起こす。
開けたついでにインレットニードルも洗浄しておく。右が洗浄後。先が黒くなったのが分かるだろうか?

後は逆の手順で組み付ければ作業終了、無事に調子を取り戻すことができた。
ダイヤフラム式キャブレターの基本的な手入れなので、できれば症状が出る前にこれらは定期交換するのが良いだろう。

« 接地 | トップページ | 安全管理 »

コメント

だんさん、
久しぶりです。
今回も DEEP F らしい記事ですね。
私には正直、部品名称と機能が 全然一致しないレベルですが
へぇ~って、 素直に凄いなーと。

確か だんさんは モトクロスバイクに凝ってましたよね。
かつてバイク野郎の友人は 暇があれば あれこれいじくりまわして
横で見ている私に 専門用語で解説してくれたのを思い出しました。
彼の もっと勉強したのが だんさんのレベルなんだろうなきっと。

私など 迷わず機械屋さん行きになるパターンですが
同じように自分でやってる知り合いのヤマイキもいるんで
この記事を読んでいるとなんだか挑戦出来るような気もしてきました。
その時が来たら やってみようと思います!

それから この前オバタさんに会いましたね。
雨やら諸々で 山にはいったのはちょっとだけだったけど
少しだけ彼の話も聞けました。


eさん、僕の機械いじりは子供のころからで、いろんなものをいじり壊してきました。
やはり興味を持って触ってみる、開けてみるのが一番かと思います。

軽く小さいエンジンのチェンソーでそれなりの仕事をするには、
常に良いコンディションを保たなければいけません。
小で大もこなす。これが面白いです。
もちろん大の方が効率的はときは大。ハイパワーの仕事も気持ちいいですね。

だんさん、

愛機MS-200 バー長40センチを使っていて 
さほど大径でもないのに 
切り込んでいる途中で パワーが下がるというか息切れして負けるような感じによくなるんですよね。
いままで こんなもんだろうなと思っていたんだけど 人から言われてそういえば・・・みたいな。
これって 35センチにしたら改善するんでしょうか。
それとも これまでのノーメンテが祟ってパワーが低下してきたのか。
でも最大最良の状態って 判断できないし。

これって ここでいう硬化が関係していると思いますか?

eさん、結論から言うと、文面だけでは判断が難しいです。

今までの経験から、ダイヤフラムの不具合であれば冷機始動時のエンストが最も特徴的な症状で、あたたまってしまえばそれなりに使えます。これがなければもっと頻度の高い別の要因が考えられます。

バーの長さは40cmを使用したことがないので何ともいえません。

MS200の好調を維持するためのメンテナンスとしては、
1・フル稼働で週2~3回エアフィルターの脱脂清掃。
2・同じく週1回くらいはシリンダーフィンの清掃。
3・同じく月1回くらいマフラーまで外して周辺の清掃。
4・随時スパークプラグの点検、清掃、交換。

日常の掃除や目立て以外にこれらを行っています。(行いたいと思っています。)
他にもありますがキリがありませんので…

1・エアフィルターが汚れると隙間から細かい木屑をエンジンに吸い込んでしまいます。
2・オイルのついた木屑がフィンに付着しやすく、冷却不良を引き起こします。早めにやれば、パーツクリーナーとコンプレッサーできれいに出来ます。放っておくと焦げ付くので、マフラー等を外して直接ガリガリやらないと落とすことが出来ません。
3・マフラー周辺はゴミ(木屑)がたまりやすく、最終的には分解しないときれいに出来ません。ゴミがたまると焦げて煙を出すようになります。
4・プラグの焼け具合でセッティングの目安になります。

パワー低下の原因として考えられるのは、フィンの目詰まりによるオーバーヒート、マフラー内部のスラッジによる目詰まり等があります。

フィンの目詰まりは焼きつきの原因にもなるので、定期的に清掃する必要があります。
マフラー内部の汚れは使用するエンジンオイルによってかなり差が有ります。半年で閉塞するものもあれば2年くらい平気なものもあります。アルミ製なので鉄のように焼くことはできませんので、「モナカ」を割って掃除するしかありません。ただ、それにはちょっとノウハウが必要で、高価ですが交換するのが原則だと思われます。

おそらく原因は一つではなく複合的ですので、一つ一つ潰していくしかありませんね。

だんさん、
こんばんは

丁寧にお答えいただいて恐縮です。

   >日常の掃除や目立て以外にこれらを行っています。

いやー、私はもうユーザー完全失格ですね。
愛機なんて言っても 全然 愛をかけてないのがよくわかります。

   >フィンの目詰まりによるオーバーヒート、マフラー内部のスラッジによる目詰まり等

プラグは けっこう見てるので 大丈夫と思いますが
マフラーは怪しいですね、絶対!
表部にはスラッジがこびり付いてて奇麗に取れないんですよね。
やっぱり分解しての清掃の中身ですよねー
実際は いわれうような分解 ってとこまでやれてないもんですから。

  >バーの長さは40cmを使用したことがないので何ともいえません。

大体 メーカーが40センチでもカタログに載せてるわけですから
息切れするなんて まずあり得ないでしょう。
実は横浜にスチール代理店が開店してて 名刺貰ってるんですよね。
そこの営業マンに聞いてみます。

っていうか、おそらくマフラー周りが問題だとすると
この際、このマイDVチェンソーを持ち込んで手術をしてもらったほうが
いいかもしれませんね。

とにかく 見てみることににします。
ありがとうございました。 


 はじめまして
ダイヤフラムを自分で交換しようと思いまして検索して、ここにたどり着きました。

そこでお聞きしたいのですが、スチールのパーツ表を見ると
キャブレターパーツセットというのがあり、メタリングダイヤフラム、エンドカバーx2、ガスケットx1という
構成なんですが、エンドカバーって交換する必要があるものなんでしょうか?

それより、メタリングダイヤフラムとダイヤフラム、各々のガスケットでいいような気がします。

あとインレットニードルの先端はゴムということで、経年劣化によって硬化そして磨耗となるような気がするのですが、購入後一度も交換してなければ、交換したほうがいいでしょうか?

ご教授お願いいたします

ひださん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

エンドカバーを交換したことはありません。
激しい汚れがあれば洗浄より早いということかもしれませんね。
インレットニードルも今までの機械はいずれも洗浄だけで済んでいます。磨耗や劣化があればもちろん交換しますが。

というわけで、自分でやるなら必要な所だけ換えれば良いと思います。プロに依頼するなら、重複する手間を節約してセットで交換という選択も出てくるのではないでしょうか。

 ご教授ありがとうございます

早速、各ダイヤフラムとガスケットを注文して交換にチャレンジしてみます

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1327866/47350823

この記事へのトラックバック一覧です: 硬化:

« 接地 | トップページ | 安全管理 »